細菌の基礎知識

私たちの生活している自然界にはたくさんの細菌がいます。

ですが細菌という言葉を聞くと体の中に入ってきたら大丈夫なのか?と不安に思う人もいるかもしれません。

今回は細菌についていくつか基本的な部分を学んでみましょう。

細菌の形は大きく3つに分類されていて、球菌、桿菌、らせん菌に分けられます。

他には構造によって分類されたり毒性があるかどうか、また酸素の有無で生きていけるかなどから分類されていきます。

細菌の大きさは1-10 μmほどで、顕微鏡で見るとわかるぐらいの大きさです。

そして体の中だけではなく、土地の中や湖や海の中、大気圏や寒い地域の氷の中などいたるところにいるのが通常です。

種類によっては放射線下でも死滅しない細菌もあるのですが、水分がないと生きていけないという特徴があります。

ただ、乾燥に対しては細菌は芽胞という状態になることによって対応するので地球上のいたるところに細菌は存在していると考えられます。

そして細菌というと病気を引き起こすイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。

ウイルスと細菌を同じように考える人も多いと思いますが、ウイルスは生物の細胞を利用して増殖していくのです。

細菌は細胞が無くても活動、増殖していく事が出来ます。

体にいる細菌だけでも何百種類といますが、このほとんどが嫌気性菌に当てはまります。

酸素があっても無くてもどちらでも生きていける菌です。

これらの嫌気性菌の多くが普段は無害なものが多いのですが、体の内部のダメージによっては病気と関係してくる場合もあります。

体にとって悪い影響がある細菌はわかりやすいものでは食中毒などがあります。

サルモネラや腸炎ビブリオ、黄色ブドウ球菌、ウエルシュ菌、カンピロバクター、病原性大腸菌などです。

これらの細菌は毒素を出し腹痛や下痢、嘔吐などの症状が出てきます。

このように数千という種類の細菌の種類がありますが、全ての細菌が悪いわけではありません。

体にとって悪い影響を及ぼす病原菌というのは細菌全体で比べるととても少なく、一部の細菌が毒素を出したり体を侵していって病気になるという事です。

腸内細菌の善玉菌や発酵食品のように私たちの体にとって良い影響の細菌もいますので、細菌について正しく知って上手に付き合っていきましょう。

細菌の中での乳酸菌

乳酸菌は、細菌の一種ですが微生物と呼ばれるの顕微鏡の助けを借りなければ肉眼で見えないような微小な生物一種です。

細菌、酵母、かび、原虫などはすべて微生物に属しウイルスも微生物の仲間として分類され細菌は、地球上で最古の生物とされています。

細菌とはは、細胞壁をもつ単細胞の微生物で、通常は1個の細胞が2個に分裂し増殖し大きさは0.5~10μm(マイクロメートル)程度で細菌の形態は、球状、桿状、らせん状、で細胞が集まって特定の形をつくるものもあります。

遺伝DNAは染色体構造をとらず、裸のままで細胞内に分散し種類は、約290万種といわれています。

原始的体制を残した生物は原核生物と呼ばれて、動物、緑色植物、真菌、かび、酵母などの真核生物と細菌を区別する特徴となっています。

細菌の中には病原体として、人間、家畜、作物などに有害なものもありますが、発酵食品の製造過程で役に立ち人食品を貯蔵する手段として、食品に独特の味や香りを付与する方法として、微生物の力を利用し人類は発展してきました。

発酵食品は、化学的に合成できない微妙な香味を有する点に特徴があり、食生活を豊かにする上で欠かせないものとなっています。

乳酸菌もまた、それら食品を発酵させる有益な細菌として人類に利用されていきました。

乳酸菌とは、糖類を発酵してエネルギーを獲得し、多量の乳酸を産生する細菌を指します。

乳酸を生成する細菌はたくさん存在しますが、乳酸菌の定義は消費した糖類から50%以上の割合で乳酸を生成する細菌とされています。

細胞の形態は球菌と桿菌に大別され、細菌の識別法ではグラム染色で陽性を示し、過酸化水素を分解する酵素をもたず、芽胞を形成せず、運動性がないという特徴があります。

乳酸菌には嫌気性細菌が多く酸素の存在する環境でも増殖できますが、酸素の比較的少ない環境で増殖します。

乳酸菌の増殖には栄養素が必要であり、乳酸菌は主として動植物界や食品などに常在している物が多いのです。

細菌の分類

生物の分類には動物、植物、微生物に大きく分かれますが、この分類とは別に細胞の構造による違いとして、真核生物と原核生物に分類されます。

動物と植物は全て真核生物ですが、微生物にはミジンコなどの原生動物、海藻などの藻類、キノコやカビの菌類などのように真核生物に分類されるものと、バクテリアと呼ばれる乳酸菌や大腸菌などが属する古細菌=真正細菌に分類される原核生物に分かれます。

最も種類が豊富で、変化に富む分類が細菌と呼ばれる古細菌と真正細菌です。

地球が誕生したのは46億年で30億年ほど前に海の中で地球最初の生物とされる細菌が誕生しました。

その後、生物の進化の過程と様々な役割を分業する細菌が結合した多細胞生物とたった一つの細胞で生きていく単細胞生物に分かれていきました。

細菌の仕組み

細菌の大きさは小さく顕微鏡でやっと見れるくらいで数100個並べてやっと1ミリメートルになる程度です。

細菌内にはDNAに遺伝情報を格納しており、細胞分裂や出芽することによって増殖します。

細菌はその種類によって形が決まっており、丸い形のものは球菌、細長い物は桿菌、渦巻状の物は螺旋菌と呼ばれます。

これら細菌は単体で存在したり、複数個が連なったりした状態で存在します。

細菌の多くは、自分で動くことができず水や空気など媒体の移動によって自分を移動させますが、細菌の中にはべん毛と呼ばれる足を持ち、エサの有る場所に向かって泳いだり、有害物質からのがれる動作をするものがいます。

べん毛は、髪の毛のように無機質なものに見えますが、このべん毛はスクリューのように回転し推進力を得ます。

この回転部分はタンパク質で構成されており、医療器具の動力としてナノテクノロジーの分野で応用できるように研究がされています。

細菌と環境

地球が誕生してから46億年がたちましたが、生物が誕生したのは40億年前だとされます。

地球上の生物は必ず死にますが、死体は微生物により分解され他の生物に再利用され、物質は大きな循環の中にいます。

例えば炭素は、大気中に0.04%含まれる二酸化炭素や、岩石に含まれる炭酸カルシウム、細菌や植物に含まれる動物中炭素化合物、海洋に含まれる二酸化炭素、文明のエネルギーである化石燃料など人類はこれらを年間7000億トンも消費しています。

これらは地球上を形を変えながら循環しています。

大気中の二酸化炭素は、植物や光合成をする微生物などに取り込まれ、動物はそれらを食べることで炭素を摂取しています。

生物が摂取した炭素も生物が排泄する便や生物自体が死んだ時に土壌中でそれらが分解せれることで、土壌に変換されます。

それら生物から変換された炭素は植物によって吸収されたり、長い年月をかけ化石燃料になったりします。

このように炭素が大気中に変換されたり、化石燃料へ変換されたりするプロセスには、細菌による分解が必ずと言って良いほど関係しています。

細菌の分解能力が無いと、死体や排泄物は溜まる一方で炭素は消費される一方になってしまいます。

また、大気中の80%を締める窒素も生物を構成する重要な元素で、動物の身体を構成するタンパク質を構成し、タンパク質の15%前後は窒素でできています。

この窒素も生物のライフサイクルにより環境の中を循環し、それらの過程で細菌の分解能力が大きくかかわっています。

動植物は大気中の窒素ガスを直接利用することができず、硝酸の形で植物によって利用され、動物は植物を食べることで窒素を体内に摂りこんでいます。

このようなサイクルで循環する窒素の量は、年間で10億トンもあるそうです。

大気中の窒素を生物の中に取り込むことは窒素固定と呼ばれ、大気中の窒素は土壌中の細菌によって窒素固定されます。

植物は大気中の窒素を直接取り込むことができないので細菌が産生した硝酸や亜硝酸、アンモニアとして取り込みます。

生物が死ぬと細菌により分解されアンモニアが生成されますが、その他、生物の中のアンモニアは毒性が高いので生物は尿素に変換して体外に排泄します。

これらの排泄物や動植物の死体は、土の中で細菌により窒素固定され、植物に取り込まれまた動物により摂りこまれます。

土の中の窒素固定には、ニトロソモナスと呼ばれる細菌が働いています。

地球上の自然環境の中では様々な元素が利用されていますが、生命誕生以降40億年も枯渇しないのは細菌によるリサイクルがあるからです。

細菌の分解能力

細菌の分解能力は多岐にわたり、腸内では人間が摂取した栄養素を分解していますが、自然環境でも同様にその分解能力を発揮しています。

細菌自体は別に世の中の役に立とうと言うつもりはありませんが、その能力を人間は汚染物質を分解して環境を浄化させるために利用しています。

文明は、自然との闘いによって発展しましたが食料の増産は文明の発展は欠かせませんが、農業では害虫や病原菌などの被害は大きな問題でした。

この食糧増産に対する問題解決の一つとして、DDTと呼ばれる害虫駆除剤が開発され、その後次々と新しい農薬が開発され世界中で大量に散布しました。

害虫の被害を抑えることができましたが、これらの化学合成された農薬は土壌に蓄積され、環境にダメージを与えることがわかりました。

これら蓄積された農薬は自然界の分解能力を超え、海洋や河川でも検出され、やがて母乳からも検出されるようになり規制されるようになりました。

しかし、このDDTが散布されるとこの農薬を分解できる細菌が出現しました。

何故、このように環境の変化に応じた能力を持つ細菌が短時間で登場するのでしょうか?

遺伝子による環境対応

細菌の遺伝子は、人間のそれと比べると短時間で変化することがわかっており、これが環境に適応した種が短時間で登場する理由であると考えられています。

このケースでは、たまたまDDTを分解する能力を持った細菌が突然変異で登場し、環境に適応した種が増殖したのだろうと推測されます。

細菌がこのように頻繁に変異しては種の存続に支障が出ますが、細菌は支障が出ないように遺伝子を生きていく上で必要なものとそうでないものに分類しています。

生存に必要は無く、失敗しても影響が少ない遺伝子はプラスミドと呼ばれ、独立して存在しています。

DDTを分解する細菌を調べると、多くの場合この分解能力を有する遺伝子はプラスミドの中にあったそうです。

プラスミドには周辺環境の変化に対応するための遺伝情報が数十う種類記録されているそうです。

このプラスミドは細菌の個体間で受け渡しができることがあり、変異に成功した種はその能力をプラスミドを通して他の個体に渡しますがこれを水平伝達と言います。

DDTを分解する細菌が短時間で出現した背景は、この水平伝達により多くの細菌が分解能力を摂り込んでいった結果なのです。

他の生物を利用して広範囲に移動

さて、細菌の情報の交換にはプラスミドが利用されることがわかりましたが、細菌は自分で移動する能力がありません。

同じ細菌が隣り合っていればよいですが、より広範囲の地域で同じ特性を生むには、進化した細胞が広範囲を移動する必要があります。

実は細菌の移動には、ミミズなどの様な土壌生物が細菌の移動の役割を果たしています。

ミミズは土を食べて体内に栄養素を摂りこんでいますが、その時に土壌の中の細菌も一緒に取り込み、ミミズが別の場所まで移動して糞をするとその中に細菌も一緒に排出されることで細菌は移動ができるのです。

細菌自体の移動能力

細菌は広範囲に移動する時は他の動物や風邪や水などの力を利用しますが、細菌自身もある程度は移動します。

エサが近くにあればエサに向かって移動しますし、その細菌にとって危険なものがあれば離れていきます。

これは細菌が住むべき環境や共生すべき近付くためにも自分に有利な場所へ向かい移動します。

腸内細菌の一種である大腸菌は、エサであるタンパク質や脂質がある方向へ移動しますし、リゾビウムという土壌菌はマメ科植物の根が定着する環境なので、マメ科の根の方へ向かって移動します。

海中にいる海洋性細菌は海藻などの有機物の近辺へ移動します。

中には、人間にとって有害物質である環境汚染物質を栄養源とする細菌も有り、このような細菌は環境浄化に利用されています。

細菌のセンサー機能

生物は危険の回避やエサを見つけるために、目、耳、鼻などの知覚器官を発達させていますが、これらの器官を持たない細菌はどのように周りの情報を入手しているのでしょうか?

細菌はこれら器官は持っていませんが、細胞の表面に化学・温度感覚受容体を持っている事が細菌の研究でわかってきました。

受容体はレセプターと呼ばれ、タンパク質で構成されており、先端は細胞から外に飛び出ています。

この特徴により細菌は有害物質を細胞内に取り込むことなく、対象物質と結合する事で情報を入手する事ができるのです。

このセンサーは物質毎に別々物のが用意されており、多い物では50種類以上のセンサーを備えています。

センサーによりその細菌にとって有害な物質を感知したり、エサとなる物質を感知すると細菌のべん毛に移動せよと命令を出して移動を開始します。

センサーが感知する刺激の方向や頻度によりスピードを方向が制御されて細菌は生存に適した場所へ移動する事ができるのです。

実はこのセンサーは、細菌から取り出しても動作する事がわかり、別の細菌に取り付けるとしっかりと作動する事がわかってきました。

現在のこの分野は研究途上で、どのセンサーがどの物質に反応するかはまだわかっておりませんが、この仕組みを応用する事で特殊の汚染物質の処理など様々な用途に使われることが期待されています。

細菌の力を応用した環境改善

細菌の分解能力を利用した環境の浄化は既に様々な分野で応用されています。

下水処理場での浄化

工場の排水には多くの有機物が含まれていますが、この排水に空気を混ぜながら撹拌すると、これらの有機物を細菌が二酸化炭素と水に分解します。

この細菌による浄化作用を利用した水槽は、曝気槽と呼ばれ多くの細菌が棲息しています。

曝気槽には通常細菌はフロックと呼ばれる塊を形成して水槽の底にあり、細菌が分解するときれいな水は上層に行くので、汚水ときれいな水が分離されるので、汚水を流しこみ続ければ処理済の水を上から排水できます。

これら水の浄化に利用されている微生物は、アルカリゲネス属、バシラス属、コリネバクテリウム属、エシェリキア属などの細菌の他にはゾウリムシ、ラッパムシ、ワムシなどの原生動物です。

石油を分解する細菌

石油を分解する細菌があり炭化水素資化性菌と呼ばれ、海洋での石油流出事故などで利用され注目を集めています。

この石油を分解する細菌が発見された時は、このような細菌は特殊な細菌であると考えられていましたが、その後の研究で実は石油を栄養とする細菌は普段は別の栄養源を食べていますがある条件が加わると石油を食べることがわかり、現在では数百種類の細菌が石油を食べることが明らかになりました。

石油は単一の成分から構成している訳ではなく、様々な成分を含む混合物で、石油を栄養源にできる細菌も種類ごとに栄養にできる成分が違うようです。

船舶の座礁や石油プラントの事故などで石油が流出する事がありますが、細菌の力だけだと10年くらい処理に時間を費やしてしまうので、石油を食べる細菌を増殖させる成分である窒素とリンを散布することで菌を増殖させる方法がとられ効果をあげているようです。

水銀を分解する細菌

国が発展する過程で、工業が発展する一方で環境に負荷を与えることもあり公害問題として日本でも様々な問題がありました。

日本国内では最悪の公害問題としては、水銀による郊外で熊本県にある水俣で水俣病と呼ばれる水銀中毒による公害を引き起こしました。

これは工場の排水の中にメチル水銀が含まれ、これを河川の流域の魚介類が摂取して蓄積した者を近隣の人間が食べることで神経に対する障害が出た公害事故でした。

水銀は、乾電池、温度計、蛍光灯などにも利用される工業製品に欠かせない液体金属で、かつては農薬としても使われた時期がありましたが、現在では農薬としての使用は禁止されています。

水銀などの重金属は、土壌へ蓄積され長期間とどまり、自然界に放出された水銀は食物連鎖により生物濃縮され、食物連鎖の上位にいる生物に最終的に蓄積します。

水銀に汚染された土壌は、汚染土の封じ込めや加熱処理により対策がなされてきましたが、費用が高額な上に水銀が除去されるわけではないので根本的な解決になりませんでした。

しかし、水俣病の水俣湾で棲息していることが確認された、アルテロモナス・マクレオディーと呼ばれる細菌は、水銀を揮発性の水銀蒸気に変換できる細菌で、この細菌を土壌に散布するとこの細菌の働きで体内に吸収されにくい毒性の低い水銀に変換されることがわかりました。

この細菌により変換された水銀は、水銀蒸気として環境に拡散され、生物に蓄積されないことから影響を与えないくらいに薄められます。

空気中の窒素を摂りこむ細菌

生物が生きていく上で欠かせない成分があり、その成分の中の一つが窒素です。

窒素は生存に必要不可欠ですが、生物は空気中の窒素をそのまま利用できる種は殆どいません。

窒素を体内に取り込める例外的な生物が細菌で、ある種の細菌は窒素を取り込むことができその名を窒素固定菌と言います。

植物はこのような窒素固定菌を自分の根の周辺に住ませることで、細菌が空気中から取り込んだ窒素を吸収しています。

窒素固定菌には、単体で生きている菌と植物と共生している菌があり、多くの植物は光合成で得た栄養をこれらの細菌に供給する見返りとして、これらの細菌から窒素の供給を受けています。

単独でいきている菌は、窒素固定をするだけでなく植物ホルモンの生成も行うため、植物の成長を促進させます。

細菌が住む場所

自然環境で細菌の密度の高い場所は、土壌中で土1gには数千万から数億個の細菌が存在しています。

土壌でも砂漠の様な乾燥した土壌では細菌もほんのわずかいますが殆どは仮死状態で生存に適した環境になると活動を始めます。

一方で、植物の生い茂るような土壌中には細菌が多く存在して、土の感触もやわらかく水分を含み粘り気があります。

この種の土の粘性は、細菌の持つ粘性が土壌を団粒化しているためで、植物の生長に必要な保水性や通気性を高める役割を果たしています。

土壌菌はこのように土の質を植物の生育に適した状態に改善し、空気中の窒素を固定化し植物へ供給し、動植物の死体を分解し他の生物の栄養源に変えています。

腸内に住む細菌

細菌の移動には、風に飛ばされたり、水の流れに乗ったり、他の生物の付着して移動する菌も有りますが、人間の腸内に住むことで地球上を大移動する細菌も有ります。

人間の腸内細菌には太古の昔、人類の誕生した頃に人間の腸内に棲みつき、人類の移動とともに世界各地に広く分布している細菌も有ります。

細菌の器官にミトコンドリアと言う名の器官がありますが、細胞内小器官と呼ばれる構造体で、生物がまだ単細胞生物だった時に共生し始めた別の生物に由来するものです。

ミトコンドリアの特徴として、自分の持っている遺伝子の大部分を宿主の細胞にゆだね、その遺伝子は母から子供へ受け継がれます。

このミトコンドリアの特性を利用すると母方の系図をたどることができるので、世界各地の人種の類型を調べることができるのです。

世界の人種の類縁関係を調べた結果、全ての人類はアフリカにいたある女性が現在の人類の元であると特定されました。

人間の腸内に住む細菌もこの方法で調べることで、人間がいつ感染してどのような経路で世界に伝播したのかがわかります。

腸内細菌の遺伝子は、人間の遺伝子より変異が早いので数千年世代が隔たると遺伝子の相違を確認できます。

大気中に住む細菌

人間には体内に腸内細菌、皮膚には常在菌など膨大な細菌が住んでいますが、地球の表面にはもっと多くの細菌が存在しています。

地球の大気中には高度30キロメートルという高高度に生物はいないと思われるかもしれませんが、細菌は少量ですが存在しており、40立方メートルあたりに1個の細菌がいます。

ジェット機が飛ぶコードである高度10キロメートルまで降りてくると、細菌の数は増えて1立方メートルあたりに1個存在するようになります。

ただし、このような過酷な環境ではさすがの生菌は生きていけないので、活動を休止した状態である芽胞と呼ばれる仮死状態であることが多く、生存に適した環境になると活動を開始します。

人間が生活している空間である地表まで降りてくると、様々な種類の膨大な細菌が存在しており、カビや酵母も含めた微生物数は1立方メートルあたり一万個存在しているとされ、これが家庭内に入ると1立方メートルあたり10万個にもなります。

自然環境の中での大気中は、風に巻き上げられた土壌菌がほとんどですが、屋内では人間に付着していた細菌が垢やふけとともに剥がれおちた細菌がほとんどです。

地底と海底に住んでいる細菌

以前は地表より数メートル下の植物の生息域より舌は細菌はほとんどいないと考えられていましたが、最近の調査では地上や水中を超える膨大な細菌の生存圏があることがわかってきました。

また、地底だけではなく海底にも巨大な生命圏があることが最新の調査で明らかになりました。

地底は地層が非常に硬いので地殻変動はめったに起きないため、生命の棲息に必要な熱を発する場所のマントルまでは50キロメートル前後離れています。

一方の海底では、プレートの移動などで活発に活動しており、場所によってはマントルまでの距離が場所により数キロメートルと近いので熱源が豊富にあります。

海底などの低温で高圧の環境で、酸素、二酸化炭素、太陽光など生命に維持するものが無い過酷な環境ですが、海底の土砂を掘削すると1立法センチメートルあたり一万個以上の細菌が棲息しています。

これを可能にしているのが実は栄養豊富であった海底の地層で、有機物、メタン、炭化水素、硫黄、アンモニア、イオン、鉄、マンガンなど生命維持に必要な成分を多く含んでいるのです。

栄養は豊富ですが、酸素濃度が低いので酸素を必要としない細菌がほとんどです。

海底資源であるメタンハイドレ―ドが注目を浴びていますが、この周辺には硫酸とメタンハイドレ―ドのメタンを栄養源にしている細菌も発見されました。

これらの細菌は新種の細菌であることがわかり、海底には人間の知らない巨大な生命圏があることが推測されます。

体内に住んでいる細菌

人間の体内には非常に多くの細菌が住んでおり、腸炎ビブリオ菌、ブドウ球菌、サルモネラ菌など食中毒の原因となる人間に悪さをする悪玉菌も住んでおりますが、乳酸菌やビフィズス菌など人間の健康に貢献する善玉菌も住んでいます。

これら人間の腸内に住む菌を腸内細菌と言いますが、中には人間の合成でき無いビタミンを供給する菌や、有害な細菌の増殖を抑制する菌など健康には欠かせない働きをする菌もいます。

人間の身体全体では2000種類を超える細菌が住んでおり、体内で最も多く細菌がいる腸内には1000種類の細菌がいるとされ、口の中には500種類、皮膚にも数100種類の細菌がいるとされます。

腸内細菌は糞便に混じり体外へ排出されますが、便1g中に1兆個もの細菌が入っているとされます。

腸内には100兆個の腸内細菌がいるとされますが、毎日排便で排出されていたら無くなってしまうのではないでしょうか?

細菌の増殖する速度は非常に速く、糞便で体外にでる細菌と同じくらい増殖するので菌がいなくなることはありません。

腸内に住んでいる大腸菌では、30分で1個の菌が2個に分裂するので、24時間後には300兆個まで増える計算になります。

ただ、実際には腸内細菌の増殖には宿主の健康状態や摂取した食べ物にも左右されたり、他の細菌により増殖を抑制されたりするので計算道理には増えません。

大腸菌は、他の腸内細菌が産生したアミンのような物質を分解したり、ベンツピレンなどの発がん物質を分解する良い働きをする反面、腸内で物質を腐敗させたりする悪さをします。

腸内細菌は腸から出るとあまり長く生きていられませんので、実態については完全には解明されていません。

腸内細菌にもエネルギー効率の良い種もいれば、悪い菌もいますが肥満の人にはエネルギー効率の良い腸内細菌がおおいことがわかっています。

つまり、腸内細菌のバランスによっては肥満になる可能性が高くなるのです。

ある種の虫を宿主にしている腸内細菌は宿主の食事をコントロールをしている事例もあるようです。

ひょっとしたら腸内細菌のバランスによって人間の行動に影響を与えるかもしれませんね。