細菌の分解能力

細菌の分解能力は多岐にわたり、腸内では人間が摂取した栄養素を分解していますが、自然環境でも同様にその分解能力を発揮しています。

細菌自体は別に世の中の役に立とうと言うつもりはありませんが、その能力を人間は汚染物質を分解して環境を浄化させるために利用しています。

文明は、自然との闘いによって発展しましたが食料の増産は文明の発展は欠かせませんが、農業では害虫や病原菌などの被害は大きな問題でした。

この食糧増産に対する問題解決の一つとして、DDTと呼ばれる害虫駆除剤が開発され、その後次々と新しい農薬が開発され世界中で大量に散布しました。

害虫の被害を抑えることができましたが、これらの化学合成された農薬は土壌に蓄積され、環境にダメージを与えることがわかりました。

これら蓄積された農薬は自然界の分解能力を超え、海洋や河川でも検出され、やがて母乳からも検出されるようになり規制されるようになりました。

しかし、このDDTが散布されるとこの農薬を分解できる細菌が出現しました。

何故、このように環境の変化に応じた能力を持つ細菌が短時間で登場するのでしょうか?

遺伝子による環境対応

細菌の遺伝子は、人間のそれと比べると短時間で変化することがわかっており、これが環境に適応した種が短時間で登場する理由であると考えられています。

このケースでは、たまたまDDTを分解する能力を持った細菌が突然変異で登場し、環境に適応した種が増殖したのだろうと推測されます。

細菌がこのように頻繁に変異しては種の存続に支障が出ますが、細菌は支障が出ないように遺伝子を生きていく上で必要なものとそうでないものに分類しています。

生存に必要は無く、失敗しても影響が少ない遺伝子はプラスミドと呼ばれ、独立して存在しています。

DDTを分解する細菌を調べると、多くの場合この分解能力を有する遺伝子はプラスミドの中にあったそうです。

プラスミドには周辺環境の変化に対応するための遺伝情報が数十う種類記録されているそうです。

このプラスミドは細菌の個体間で受け渡しができることがあり、変異に成功した種はその能力をプラスミドを通して他の個体に渡しますがこれを水平伝達と言います。

DDTを分解する細菌が短時間で出現した背景は、この水平伝達により多くの細菌が分解能力を摂り込んでいった結果なのです。

他の生物を利用して広範囲に移動

さて、細菌の情報の交換にはプラスミドが利用されることがわかりましたが、細菌は自分で移動する能力がありません。

同じ細菌が隣り合っていればよいですが、より広範囲の地域で同じ特性を生むには、進化した細胞が広範囲を移動する必要があります。

実は細菌の移動には、ミミズなどの様な土壌生物が細菌の移動の役割を果たしています。

ミミズは土を食べて体内に栄養素を摂りこんでいますが、その時に土壌の中の細菌も一緒に取り込み、ミミズが別の場所まで移動して糞をするとその中に細菌も一緒に排出されることで細菌は移動ができるのです。

細菌自体の移動能力

細菌は広範囲に移動する時は他の動物や風邪や水などの力を利用しますが、細菌自身もある程度は移動します。

エサが近くにあればエサに向かって移動しますし、その細菌にとって危険なものがあれば離れていきます。

これは細菌が住むべき環境や共生すべき近付くためにも自分に有利な場所へ向かい移動します。

腸内細菌の一種である大腸菌は、エサであるタンパク質や脂質がある方向へ移動しますし、リゾビウムという土壌菌はマメ科植物の根が定着する環境なので、マメ科の根の方へ向かって移動します。

海中にいる海洋性細菌は海藻などの有機物の近辺へ移動します。

中には、人間にとって有害物質である環境汚染物質を栄養源とする細菌も有り、このような細菌は環境浄化に利用されています。