細菌の住む場所

自然環境で細菌の密度の高い場所は、土壌中で土1gには数千万から数億個の細菌が存在しています。

土壌でも砂漠の様な乾燥した土壌では細菌もほんのわずかいますが殆どは仮死状態で生存に適した環境になると活動を始めます。

一方で、植物の生い茂るような土壌中には細菌が多く存在して、土の感触もやわらかく水分を含み粘り気があります。

この種の土の粘性は、細菌の持つ粘性が土壌を団粒化しているためで、植物の生長に必要な保水性や通気性を高める役割を果たしています。

土壌菌はこのように土の質を植物の生育に適した状態に改善し、空気中の窒素を固定化し植物へ供給し、動植物の死体を分解し他の生物の栄養源に変えています。

腸内に住む細菌

細菌の移動には、風に飛ばされたり、水の流れに乗ったり、他の生物の付着して移動する菌も有りますが、人間の腸内に住むことで地球上を大移動する細菌も有ります。

人間の腸内細菌には太古の昔、人類の誕生した頃に人間の腸内に棲みつき、人類の移動とともに世界各地に広く分布している細菌も有ります。

細菌の器官にミトコンドリアと言う名の器官がありますが、細胞内小器官と呼ばれる構造体で、生物がまだ単細胞生物だった時に共生し始めた別の生物に由来するものです。

ミトコンドリアの特徴として、自分の持っている遺伝子の大部分を宿主の細胞にゆだね、その遺伝子は母から子供へ受け継がれます。

このミトコンドリアの特性を利用すると母方の系図をたどることができるので、世界各地の人種の類型を調べることができるのです。

世界の人種の類縁関係を調べた結果、全ての人類はアフリカにいたある女性が現在の人類の元であると特定されました。

人間の腸内に住む細菌もこの方法で調べることで、人間がいつ感染してどのような経路で世界に伝播したのかがわかります。

腸内細菌の遺伝子は、人間の遺伝子より変異が早いので数千年世代が隔たると遺伝子の相違を確認できます。

大気中に住む細菌

人間には体内に腸内細菌、皮膚には常在菌など膨大な細菌が住んでいますが、地球の表面にはもっと多くの細菌が存在しています。

地球の大気中には高度30キロメートルという高高度に生物はいないと思われるかもしれませんが、細菌は少量ですが存在しており、40立方メートルあたりに1個の細菌がいます。

ジェット機が飛ぶコードである高度10キロメートルまで降りてくると、細菌の数は増えて1立方メートルあたりに1個存在するようになります。

ただし、このような過酷な環境ではさすがの生菌は生きていけないので、活動を休止した状態である芽胞と呼ばれる仮死状態であることが多く、生存に適した環境になると活動を開始します。

人間が生活している空間である地表まで降りてくると、様々な種類の膨大な細菌が存在しており、カビや酵母も含めた微生物数は1立方メートルあたり一万個存在しているとされ、これが家庭内に入ると1立方メートルあたり10万個にもなります。

自然環境の中での大気中は、風に巻き上げられた土壌菌がほとんどですが、屋内では人間に付着していた細菌が垢やふけとともに剥がれおちた細菌がほとんどです。

地底と海底に住んでいる細菌

以前は地表より数メートル下の植物の生息域より舌は細菌はほとんどいないと考えられていましたが、最近の調査では地上や水中を超える膨大な細菌の生存圏があることがわかってきました。

また、地底だけではなく海底にも巨大な生命圏があることが最新の調査で明らかになりました。

地底は地層が非常に硬いので地殻変動はめったに起きないため、生命の棲息に必要な熱を発する場所のマントルまでは50キロメートル前後離れています。

一方の海底では、プレートの移動などで活発に活動しており、場所によってはマントルまでの距離が場所により数キロメートルと近いので熱源が豊富にあります。

海底などの低温で高圧の環境で、酸素、二酸化炭素、太陽光など生命に維持するものが無い過酷な環境ですが、海底の土砂を掘削すると1立法センチメートルあたり一万個以上の細菌が棲息しています。

これを可能にしているのが実は栄養豊富であった海底の地層で、有機物、メタン、炭化水素、硫黄、アンモニア、イオン、鉄、マンガンなど生命維持に必要な成分を多く含んでいるのです。

栄養は豊富ですが、酸素濃度が低いので酸素を必要としない細菌がほとんどです。

海底資源であるメタンハイドレ―ドが注目を浴びていますが、この周辺には硫酸とメタンハイドレ―ドのメタンを栄養源にしている細菌も発見されました。

これらの細菌は新種の細菌であることがわかり、海底には人間の知らない巨大な生命圏があることが推測されます。