パンを発酵の有無から分類すると、パンを作る時に原料である穀物に水を加えこねたものをドウと言いますが、ドウを発酵させ焼くパンと、ドウを無発酵のまま焼くパンがあります。

発酵パンの歴史は、人類の穀物摂取の文化の進展とあわせて進んできました。

小麦の栽培は1万年前程から行われ、収穫した小麦を粉にして食べ始め、時代が進むと小麦を粉にして水を加えて粥状にして食べるようになりました。

この小麦の粥がおそらく熱い灰や焼け石にこぼれて焼かれることによりパンの原型ができたのでしょう、更に時代が進むとこれを平焼きにして食べるようになります。

このような食習慣の中、パン焼き用にとっておいた粥に酵母が入り発酵をおこし、これを焼いたところその独特な風味と美味の上に食感も良くなったことから発酵パンの作り方が広がっていったのだろうと想像されます。

既に6000年前のメソポタミアでは発酵無しの焼きパンがあったことが文献で確認でき、古代エジプトでもメソポタミアの影響を受けパンがあったとされ、古代中国でも発酵パンが作られていたとされます。

その後パンはヨーロッパに渡り長い歴史の中で進展し、日本で食べられているものはヨーロッパ経由で伝えられてものです。

ですので日本ではパンというとヨーロッパをイメージしますが、ユーラシア大陸には様々な種類のパンがあります。

中国北方の麦作地帯には饅頭がありますし、インドやパキスタンの南アジアでは無発酵の焼きパンのチャパティーや発酵させた焼きパンのナンがあります

ナンは日本でも一般的になり始めたパンですが、ナンは発酵したパンで一晩寝かしたドウを高熱のかまどの内側に貼って焼き上げたもので、これにカレーや調理した肉などと一緒に食べるものです。

中東ではこのナンをもっと薄くして焼いた、タンナワー、かまどの底で焼いたバラディー、エチオピアには同種の発酵パンのインジュラがあります。

パンの製造での発酵の役割は、まずはパン生地を発酵させるとことでパンに独特の風味を与え、発酵で生じる炭酸ガスがパン生地を膨張させ生地の食感をふっくらもちもちさせ独特な舌触りや歯ごたえを生みます。

発酵させてから焼いたパンと発酵させないで焼いたパンは香りで七倍も違うとされ、このように発酵は焼き上がったパンの風味を左右します。

このパンの製造に使われる酵母は、サッカロミセス・セレビシエと呼ばれる菌種で、原料の状態で1g中に約140億個も含まれているそうです。