鰹節

外国人が日本に着くとまず感じることは、かつお節んにおいがすると感じることが多いようです。

日本食の味付けには必ずと言って良いほど入っているので、日本人が気づかないだけで外国人には日本独特のにおいに感じるのかもしれません。

この鰹節は平安時代に登場した保存食であるとされ、現在のような燻製として定着したのは江戸時代中期です。

鰹節の製造方法は、鰹を三枚おろしにして2時間ほど煮てから冷やしてから骨を抜き木の箱に数枚づつ入れて、燻してから乾燥させます。

この焙煎では85度の温度で約1時間程燻し5日間ほど続け、最後に4日間ほど天日で乾燥させます。

これを船の形に削り成形し4~5日間乾燥させてから、麹カビが多数生息している容器に入れて2週間おいておくと表面にカビが付着し、この後に胞子を払い乾燥させると完成します。

鰹節の発酵に使われるカビは、麹カビの一種であるスペルギルス・レベンスという細菌です。

鰹節の硬さの秘密はこのカビの発酵と関係しており、この硬さは乾燥や燻しただけでは水分が内部に残りここまでは乾燥しません。

鰹節の表面に付着したカビはその生育のために水分が必要となるので、鰹節の内部から水分を吸収するので更に水分が吸収されこの鰹節の硬さになるのです。

この時にカビが生成した分解酵素は鰹節に含まれる脂肪を分解し脂肪による酸化を防ぐことから保存性が向上します。

また、カビのタンパク質の分解酵素が鰹節のタンパク質を分解しイノシン酸と呼ばれるアミノ酸はうま味は鰹節のうま味を最大限引き出します。

熟鮓(なれずし)

魚をカビで固形状に発酵させたのが鰹節ですが、細菌や酵母により固形状に発酵させたものが「なれずし」と呼ばれる食べ物です。

なれずしは、魚を米と一緒に重石で圧縮し、乳酸菌を利用して発酵させたもので、近江地方の名産である鮒鮓が有名です。

なれずしのような食品は、中国や東南アジアにも存在し日本に稲作が伝わった時に流入したものであると考えられます。

タイ・ラオス・カンボジアにもなれずしを作る文化があり、東南アジアのこのあたりがなれずし発祥の地ではないかと考えられています。

これは魚や肉を長期間保存する方法として続いてきた伝統的な調理方法であるのでしょう。

中国では紀元前にはこのような食品の加工法が存在し、魚の発酵食品を鮓、魚の塩辛を鮨と呼び古くから食されてきました。

日本のなれずしはサバ、マス、鮭、ハタハタなどを原料に日本海側の各地で発展してきました。

例えば、秋田県のはたはた鮓、しょっつる、石川県のイカの塩辛やイワシの糠漬けなど魚介の発酵食品は日本固有の発酵食品です。

日本に伝来したすしは熟鮓(なれずし)が最初であったとされ当初は魚の保存が目的だったとされ、多くが飯鮓と呼ばれる米と一緒に発酵される方法が主流です。

飯鮓(いずし)の作り方は、炊いた飯と魚を一緒に重石で圧縮しながら乳酸菌により発酵させます。

乳酸菌は米に含まれるデンプンをブドウ糖に分解し乳酸発酵を起こすことで乳酸を生成させます。

乳酸菌以外にも酵母菌や酪酸菌、プロビオン酸菌が自然に混入し発酵を起こすことで、魚の臭みを消し独特の風味をつけるような各種有機酸が生成されます。

このように漬け元自体が有機酸により酸性に保たれるようになると防腐効果を持った食品になります。

乳酸を産生する発酵をすると魚介類特有の臭みは有機酸により分解され、乳酸菌はビタミン類を産生することから昔から大切なビタミン補給源としても重宝されました。

さらになれずしに含まれる乳酸菌や酪酸菌は人間の大腸まで生きて届くことから整腸作用としての働きも見逃せません。

魚醤

魚醤や塩辛も魚介類を原料とした発酵食品です。

これもなれずしと同様に大陸から伝来した食品であると考えられています。

日本で代表的な魚醤は秋田のしょっつるで、はたはたと呼ばれる魚を原料に、米、麹、塩を加えて風味を付けるために昆布やゆずを混ぜて樽に漬け込み1年~3年の期間発酵させることで作られます。

麹に含まれる分解酵素が原料の魚のタンパク質や脂肪を分解することで特有の風味を生み出します。

漬け込む前は臭みのあった魚も発酵すると消えて、うま味や風味を生み出します。

他には香川県にはいかなご醤油、石川県や富山県にはいしると呼ばれる魚醤があります。

塩辛

塩辛は日本の食卓には一般的な食品で、イカや鰹の内臓に含まれる消化酵素を利用して食塩を加えてうま味を短期間で引き出す早塩辛と、食塩を加え数か月間微生物に発酵させた発酵塩辛の2種類があります。

更に発酵塩辛には原料の魚介と塩だけで発酵するものと、麹や米を加えたものが2種類ありますが、両方とも乳酸菌や酵母により発酵させて製造されます。

これら発酵により保存性を高めるとともに、独特な風味が加わります。

くさや

原料の魚自体を発酵させるわけではなく、魚の煮汁を発酵させたものに原料の魚を漬け込むこんだ後に乾燥させたものです。

新島、大島などの伊豆七島は豊富な漁場が近くにあることから昔から干物などの魚の加工が盛んで、くさや自体は江戸時代に製法が確立した食品です。

作り方は原料の魚を腹開きにして、内臓を取り出した後にくさや汁に2時間ほど漬けた後、天日に干しこれを何回か繰り返した後完成します。

くさやの漬け汁には、酵母菌などが大量に含まれておりこれら微生物により魚のタンパク質や脂質を分解することで独特な風味を生み出します。